20200627

2020年6月27日、おれは大学院の修士課程にいて、2年目だった。新卒入社した民間企業を辞めて、転職はせず大学院への進学を希望したのが、この日の1年半ほど前。転職はしない、大学院へ進学したい、フェミニズムジェンダーを学びたいと家族に話した時、母ははっきりと「それを勉強して、”どう”したいの?」と言った。

”どう”したいのか?そんなこと、当時も今だってわからない。ただ、あの会社で働いていて、ずっと息が苦しかった。どうしてこんなことを言われなくてはならないのか、どうしていきなり怒声を浴びせられないといけないのかが分からなかった。そして、どうしてそれを周りは平然と受け入れているのかが分からなかった。

分からなかったから、知りたかった。本当のこと、あの時自分の目の前で何が起きていたのか、自分の身に何が降りかかっていたのかを知りたかった。その背後にある「正体」を。

 

そうして中身を覗いて、自分はどうやら「普通」ではないということが、明確に分かった日。これまでの違和感に説明がついた日。そうして突きつけられた、自分は「普通」ではないという「正体」を知った日、それが2020年6月27日。

これは、その日の日記。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年6月27日

 

自分の性的指向をチェックできる、という診断サイトがある。それを最近やって、自分の指向というのを見てみたのだけれども、納得が出来たところが大きかった

 

でも、なんだか息苦しいのだ。なぜだろう。

 

Xジェンダーと言われて、ははんと思った。トランスではないとは思っていたが、そうか、Xなのか。

 

自分の表現したい性、というのでノンバイナリーが出てきた。男でも女でもない、という。これが一番しっくりしたな

 

ヘテロじゃないとずっと分かってたけど、自分は普通じゃないのだと分かってしまって、孤独感を深めているのかもしれない。

 

わたしは普通にはなれないな。

何の疑問も持たずに恋愛をして結婚することも、子どもを産んで育てることもできない。世間でいう普通と当たり前の方向にいけない。だって疑問を持って、それを気持ち悪いと思ってしまった。

 

女になりたくなかった。だって、それは搾取される側だ。

 

誰かの唯一にはなれないだろう。自分が唯一を作れないから。

わたしの、この、孤独を、分かって、癒してくれる、パートナーは、多分、一生、現れない。

 

ずっとあそこで働いていて苦しかったのは、自分が性的少数者だったからかもしれないな。

 

 

お前と一緒にするな。結婚という制度に何の疑問も持たずに、結婚したいと言っているお前とわたしを一緒にするなよ。